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〜水たばこ(ムアッセル)〜
ムアッセルとは水パイプ(シーシャ)を吸う時に使う種類のたばこの名前で、世界各地のたばこの葉がブレンドされています。
そのブレンドの仕方によって独特の香りが産み出され、さとうきびや他の食品を添加することによって独特の味を作り出しています。シーシャを吸うのにふさわしい組み合わせが作られるよう、基準局により添加する食品が決定されています。

ムアッセルがエジプトに伝わったのは19世紀の初頭オスマン人がエジプトを占領した時のことです。オスマン人たちがトルコから持ち込んだシーシャを吸っているのを見て、エジプト人が真似をし始めました。そのころ吸われていたのはトンバークと呼ばれるトルコやイランで栽培されたたばこで、特に加工技術などの必要もなく、たばこの質はたばこの葉そのものの種類に左右されるというものでした。

当時エジプト人は好んでトルコ人の真似をしました。というのはトルコ人のライフスタイルが、産業、農業、文化などさまざまな分野にわたり発展しているように見えたからです。ただ、エジプト人にとっての最大の問題はシーシャやたばこをどこから手に入れるかということでした。

そこでエジプト人は代用品を考えようとしました。ココナッツの実を用意し、2カ所に穴をあけ中のシロップを取り出し、ゴムのホースの替わりには竹の棒が使われました。たばこを載せるハガーは焼いた粘土で作られました。このようにうまい具合にシーシャが作られてゆき、エジプト人はその器具をアラビア語でココナッツの実を意味するゴーザと言う名前で呼びました。

次に必要なのはたばこの葉です。当時エジプトでは紙で巻いたたばこの販売に従事している人が多く、商売は盛況でした。紙巻たばこで使われていたたばこの葉はオスマン人たちが使っていた物とは違い細かく刻まれたものでした。

エジプト人がシーシャを吸おうとしてその細かいたばこの葉を用いたのですが、ハガーに載せるとその葉は安定が悪く、オスマン人たちのようにうまく吸うことができませんでした。

その試行錯誤中のことです。シーシャを吸うのを好きな男が夕食を食べていました。夕食はパンとエジプトでは人気のサトウキビから作られた黒砂糖エキスでした。男がたばこの葉をハガーに載せようとしていた時、ある考えが突然脳裏をよぎりました。それはたばこのさらさらした触感にねばねばした黒砂糖エキスを加えたらどうだろうかという考えで、それが見事に的中したのです。良かったのはそれまでとは違ったたばこの風味が作り出されたいう点です。こんなふうにさとうきびから抽出された黒砂糖エキス(モラッセス)ととたばこが組み合わされ、それはムアッセルという名前で呼ばれるようになりました。

この方法がエジプトで大変人気が出たので、製造者や商人たちは箱に入ったたばことして商品化することを考えました。そのころのエジプト人の消費者と言えば大部分が農民だったので椰子の木、牛、バラなどが商標名として用いられたのでした。

ムアッセル製造業が発展しさまざまなフレーバーやいろいろな種類のムアッセルが作られました。業界での生産者同士の競争も激しくなり、商品をどんな方法で作るかに磨きがかけられるようになっていきました。ムアッセルが開発されていくと共に、シーシャも形を変えてゆき最終的には昨今見られるような形になりました。

20世紀に入ると喫煙はますます盛んになるのですが、同時に喫煙による害も取り上げられるようになってきました。世界規模の企業にとっては喫煙による健康被害を減らす研究が大きな課題となりました。ムアッセルは紙巻たばこに比べ健康被害は少ないと考えられていますが、それでもムアッセルを作る会社はさらに害を少なくする方向で努力を続けました。

1980年代半ばにはエジプトのある会社がムアッセルの製品開発を始め、それまでになかったような独自の種類や新しい商品を産み出しました。ニコチンの割合を減らしていき、タールはついにゼロになりました。アップルや他のフルーツの風味が加えられ、紙巻たばこの喫煙者にムアッセルにも興味を持ってもらおうという戦略を立てました。
それまではムアッセルの愛好者はエジプト人と周辺のアラブ諸国の人々に限られていました。

フルーツ風味の新しい商品ができて以降、ムアッセルはアラブの諸国だけでなく広くイスラム圏に広がり、さらに世界中の誰もが一度試しに吸ってみればすぐに受け入れてしまう人気の商品となりました。

 
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